2007年09月14日
ステッチングマシンを作る その3 必要なのはフライス盤だ!

いきなりスゴイ機械が登場してしまったが、かなりの期間を悩んだ結論である。無いモノは作るべし!
で、どういう事かというと、水平移動、垂直移動させる仕組みを考えているうちに「アリミゾ、アリガタ」という言葉に行き当たった。天体望遠鏡などに装備されているさまざまなアタッチメントを取り付ける台形のプレートおよびその形に削り込んだレールだ。マンフロットのスライディングプレートもこのような仕組みになっている。PB-4でもフロントスタンダードのシフトさせる部分がそれだ。光学機器ではいろんな部分に使用されていて、スライドさせて任意の場所でクランプさせる機構としてはスタンダードな仕組みと言える。もしもこれを自由に作れたら、ステッチングマシンは完成したも同然だ。(って、おいおい)
フライス盤とは、ドリルのように回転するエンドミルという刃物で金属を削る機械だ。加工物は前後左右に移動するテーブルに固定し、それぞれハンドルを回転させて刃の当たる場所を移動させる。刃物はミリ単位で寸法があり、形もさまざまだ。そしてアリミゾカッターというのが、その名のごとくアリミゾを削り出すための刃物だ。写真の機械は「卓上フライス盤」とか「ミニフライス盤」などと呼ばれるもので、家庭用100Vで動作する。切削能力はアルミなどを加工するには十分で、使いこなせればいろんなものが作れそうだ。
だが、もちろんこんな機械使ったこともなければ、現物を見たこともない。ネット上で情報を集めるうち、非常に多くの方がフライス盤を使って、天体望遠鏡やミニ蒸気機関車なんかを作っておられることが分かった。そして、私にとって身近なバイクのパーツなども作れてしまう。本末転倒とはまさにこの事だ。頭の中は「何でも作れる万能マシン、フライス盤」のことで一杯になってしまった。そのうえ思っていたよりも低価格で、ラボジャッキよりも安いことが分かった。気がつくと、重さ80kgの大きな木箱が汗だくのクロネコヤマトのお兄さんと共に玄関に立っていた。
ちなみに購入先はスリースカンパニーというところだ。対応も丁寧で安心できる業者である。
(写真、勝手に使わせていただきました)
http://www.threes.co.jp/
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2007年09月13日
ステッチングマシンを作る その2 まず何が必要なのか?

前の記事では、大きくカメラを移動したときに発生する「ケラレ」の問題について触れたところまでだが、この問題についてはある程度の回避方法もあるように思っている。例えば、レンズの中心、いわゆるノーダルポイントを中心として撮像面を円運動で移動させるとか。ただその場合、レンズ設計時の収差を回避する設定を反故にしてしまう可能性もあるわけだが。いずれにしてもデータを収集できる、しっかりとした機材を早急に作る必要がある。ベースとなるのはNIKON PB-4が良いだろうと考えている。このPB-4にカメラを安全に水平垂直に移動させる部品を付加する。まず、移動量はどれくらい必要なのだろうか。4×5サイズをターゲットとするならば横5列、縦6列の計30カットが必要で、その際横方向に92mm、縦方向に75mmを確保しなければならない。もちろん縦位置でも記録したいのであれば、両方向へ92mm移動できなければならない。

早速手持ちの機材を眺めてみると、水平移動にはマンフロットのスライディングプレートが使えそうである。私が持っているものはロングプレートと呼ばれるもので、プレート自体は200mm程の長さがある。移動量は160mm程あるので十分だ。

残るは垂直方向への移動であるが、残念ながら手持ちの機材の中にはこれだ、というものがなかった。ネットでいろいろと調べてみると、ラボジャッキなるものが精密で作りもしっかりしているので良さそうだ。この2つを組み合わせれば、機能的には要件を果たすだろう。しかし、如何せん価格的な問題がある。ラボジャッキはあまりに高価だ。それに元々微動装置なので1cm持ち上げるためにはノブを何回転もさせなければならない。またラボジャッキと同様に2軸ステージというものもあるのだが、やはり微動装置であるため92mmというスパンを有してはいなかった。
いろいろと調べた挙げ句、写真機材でマクロスライダーというものがあることを知った。これは前後左右にカメラを移動させるものだが、これを立てて使えばいけるかもしれない。で、早速オークションで入手してみた。

現物を前にしばらく頭を抱えた。確かに縦横への移動には使えそうであったが、カメラの取り付け方法やPB-4との折り合いがつかない。こうなったら一から作るしかないのかもしれない。
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2007年09月11日
ステッチングマシンを作る その1 そもそもステッチングって?

言葉の意味は、小さなパーツをつなぎ合わせて大きなものに仕上げるってとこだろうか。
つまり、APS-Cサイズの撮像素子を縦横に動かして、6×7(cm)や4×5(inch)等の、より大きな画像を得ようというわけである。それを可能にするためにはいくつかの条件が必要だ。まずはじめに、イメージサークルの大きいレンズ。これは当然6×7や4×5カメラ用のレンズを選ぶことになる。そして、D200を正確かつスピーディーに移動させるための機材。中でもスピーディーさはとても重要なポイントになるだろう。屋外ロケなどで風が強い時などでは、刻一刻と光の条件が変化するためだ。しかし、どんなに頑張って素早く動かしても、流れる水や移動する被写体は撮影できない。これはステッチングの最大の欠点であるが、要は被写体を選ぶ撮影法であると割り切るしかないのだろう。しかし、その効果には大きな期待ができそうである。上に示した図は、D200のAPS-Cサイズ撮像素子の面積と、6×7や4×5のフィルムサイズを並べたものだ。6×7相当の面積を撮影するためには横3列、縦4列の計12カットを撮ればよい。4×5ならば横5列、縦6列の計30カットでやや小さいが概ね4×5サイズとなる。この時得られる画素数は後のつなぎ合わせるためのマージンを考えて1カット1000万画素としても6×7でおよそ、1億2千万画素。4×5に至っては3億画素となる。恐ろしい画素数だ。しかし、同時にいくつかの疑問や不安がよぎる。疑問とはRAW画像として記録するべきなのか、ということ。データ量の問題もあるのだが、あまりに手間がかかりすぎやしないかと、思ったりする。不安は、つなぎ合わせるためのアプリケーションだ。Photoshopで全て行うにしても、かなりの覚悟が必要だろう。そして、もう一つの不安は構造的な問題だ。そもそもD200にしろ他社の一眼レフデジタルカメラにしろ、ステッチング撮影を考慮したカメラなど存在しない。どういう問題が起きるかと言えば、広い面積を撮影しようとして移動量を大きくした場合、マウントリングやボディそのものがケラレの要因になるかもしれないと言うことだ。いろいろ調べているうち、次のような記事を見つけた。
http://www.luminous-landscape.com/reviews/cameras/Horseman_LD.shtml
ホースマンLDは前の記事でも紹介したプロ用機材だ。したがってレビューや実例の紹介などはほとんど見つからないのだが、ここでは詳しく紹介されている。この中でもやはり大きな移動量の時の、ケラレ=ビネッティングとして問題視されている。
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2007年09月03日
機材の改造 その8 ホースマンLDとマクロビュー503

デジタルカメラがフィルムカメラを圧倒しているのはプロの世界でも同様であり、様々なデジタルデバイス製品がリリースされている。たとえば、Phase OneのP+シリーズはHasselblad V, Hasselblad H1,Mamiya 645AFD,Contax 645に対応したデジタルバックで、P45+は7,216×5,412ピクセル、3900万画素の画像を生成する。しかし、あくまでフィルムの代わりにCCDを配するという発想だ。
アオリ撮影を前提とするならPhase One FX+for 4" x 5" camerasを選ぶことになるのだが、驚くのはそのスペックで1億3千万画素の画像を生成する。価格も驚きの¥5,040,000(税込)。これにプラス取り付けアダプター¥420,000(税込)が必要だ。こんなシステムで一体何を取ればいいのでしょうか。
もうちょっと現実的なところで、(株)駒村商会のホースマンLDがある。これは、同社のホースマンLシリーズという大判カメラシステムにキヤノンEOSマウント/ニコンFマウントのデジタル一眼レフカメラを装着するもので、とてもよく考えられた製品だ。
http://www.komamura.co.jp/digital/LD.html
価格も、一通り揃えたところで、¥400,000でおつりが来る。Phase Oneを見たあとでは、思わず買ってしまいそうになる価格だ。もちろん、冷静になれば自分の財政状況ではかなり無理があるのは明白だ。しかしこのあと私が歩んだイバラの道を思い起こすと、素直にこのホースマンLDを買った方がよかったかもしれない。もしもデジタルカメラでアオリ撮影をされたい方がいたら、ホースマンLDを強くオススメする。
また、大判用レンズは使わない、もっとコンパクトなシステムを所望されるならワイズクリエイトから販売されているマクロビュー503も良いかもしれない。
http://www.yscreate.co.jp/info/origin.html
ともかく、これらの商品で素晴らしいのは、カメラをマウントする部分の作り込みだ。どちらも、中判用レンズの取り付けが可能となっているが、忘れてはならないことにフランジバックがある。この数値をクリアしつつ、アオリの動作領域を確保するためには、カメラボディをマウントする部分を限りなく0に近づけなければならない。なおかつ、カメラ自体を回転させるレボルビング機能までも考慮しなければならない。ちなみにNIKON PB-4のカメラボディのマウント部分は良くできており、レボルビングも可能だが、いかんせん厚みがあり、フランジバックを考えるといかに中判用レンズであっても動作領域に割り込んできてしまう。その点、両商品は薄いプレート状のボディマウントを採用しているため自由度はかなり高いようである。
しばらくは、この2つの商品のことをもっと知る必要があると感じ、検討、研究する中で非常に重要なキーワードを見つけ出した。
これまで画素数が足りないと嘆いていた私に一筋の光明を与える画期的な着眼点。
それはステッチング撮影だ。
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機材の改造 その7 大判・中判カメラを研究してみる

NIKON BP-4 + SIGMA 28mm F1.8改によって、アオリという新たな撮影方法の可能性が見えたわけだが、ならば本家本元である大判・中判カメラのことも研究の対象とすべきなのは当然の流れである。まず大判カメラといえば、4×5(しのご)と言われるビューカメラが思い浮かぶわけだが、何しろ機材がでかい。おまけにピントグラスに写る被写体は上下左右が反転したもので、かぶり布をしなければまともに見ることもできない。また撮影の手順も複雑で、フィルムも一枚ずつ装填しなければならない。
とても私に扱える代物ではない。しかし、撮り上がったポジフィルムにはとんでもない情報量があり、これをドラムスキャナで読み込んだデータには比肩するものがない。また、カメラ本体にはアオリによって被写体をかっちりと撮り上げるための機能や工夫が満載であり、大いに参考になる。メカニズムとしては意外に単純で、前後左右および上下の移動と回転の動作を組み合わせただけだ。ただし精度と操作感が重要で、大判カメラの価格差はほとんどがこの部分の出来の善し悪しに関わっているのだと思う。レンズには絞りとシャッターユニットが組み込まれており、レンズボードさえ用意すれば使えるレンズは非常に多い。続いてブローニー判のフィルムを使用する中判カメラだが、ハッセルブラッド、MAMIYA RB/RZのシリーズ、古くはBRONICA、PENTAX 67等が思い浮かぶ。以上は6×7(cm)だが、MAMIYA、PENTAXでは6×4.5(cm)判のカメラが存在する。ちなみにMAMIYA ZDは2130万画素のデジタルカメラであり、同社のMamiya645AFレンズ群を使用する。
以上は、単体ではアオリ撮影はできない機種だが、FUJIFILMのGX680IIIは標準でアオリ機構を備えたカメラである。(GX680IIISはのぞく)このGX680IIIは中判カメラのボディの先端に4×5カメラのフロントスタンダードを小さくしたものを取り付けたような形となっており、用意されるレンズ群とは蛇腹を介して結像する。さらには有効画素数2068万画素のデジタルバックも用意されていたが、需要家渡し標準価格2,380,000円(税抜き)と、大変な価格がついていた。大体、需要家渡し標準価格ってなんのことでしょうか?なお、このデジタルバックは2006年12月をもって出荷を終了している。
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2007年08月29日
機材の改造 その6 フランジバックの呪縛

BP-4 + SIGMA 28mm F1.8改でもう一つ確認したいことがあった。
それは、このフランジバックという縛りから逃れる事ができればもっと多くのレンズが使用できるのではないかということだ。そしてこれは無限遠を確保しつつシフトやスイングの動作領域を十分確保することも可能となるはずだ。しかし、そのためにはレンズ本体の大がかりな改造を伴うのだが…。
同じようなことを考え実践している方の記事を見つけた。
ノルウェーのネイチャーフォトグラファー、Bjørn Rørslett(ビョルン・ルールスレット)氏のサイトに詳しく解説されている。
The PC-Nikkor 28 mm f/3.5 Modified Tilt/Shift Lens
http://www.naturfotograf.com/index2.html
(なぜか、目的のページのURLが表示されないので次の順でたどる
左のメニュー「Lenses」→右ページの表示が変わるので下の方「Wide-angles (14-35 mm)」→レンズ評価のページになるので下の方「28 mm f/3.5 PC-Nikkor」この本文中に「TS 28」とリンクの張られたテキストがあるのでこれをクリック)
氏はPC NIKKOR 28mm F3.5に与えられた素質をさらに高める工夫をされている。
PC NIKKOR 28mm F3.5はシフトさせて使用することが前提なのでイメージサークルが十分に広く設計されている。当然その際の収差も考慮されているはずだ。しかも上の写真からも分かるとおり、レンズ後端はフランジよりも4mmほど前方にあり、バックフォーカスは十分に長い。
ルールスレット氏はPC NIKKORが「本当のシフトレンズ」(氏のサイトの中ではティルトと表現されているが、私がスイングといっていることと同義である。そして、このティルトとシフトの両方ができなければ、本当の意味でシフトレンズとは言えないと氏は言う)に成り得ると考え、ヘリコイドからマウントまでを取り去り、小さなベローズに取り付けている。このあたりは私のSIGMA 28mm F1.8改と同様の考えのようだ。
サイトにはいくつかの作例が載せられており、近景から遠景までしっかりピントの合った作品が見られる。
ルールスレット氏の試みは偶然にもBP-4 + SIGMA 28mm F1.8改が目指したものと全く同一のアプローチである。氏もまた、ピント領域のコントロールのため、今となっては希少な一本の尊いレンズを犠牲にしている。私のジャンクレンズとは気合いが違うのだ。(私なんかと比べちゃ失礼ですよね。すみません)
また、ルールスレット氏はたくさんのレンズの評価を行っていて、とても参考になる。私の気に入っているレンズが高い評価を与えられていたりすると、なぜかとても嬉しい。英語で書かれたサイトだが、今は便利な世の中だ。サイトの自動翻訳等を使用すればで多少ヘンテコな日本語になってしまうが、意味は十分理解できるはずだ。
ぜひご覧いただくことをオススメする。
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機材の改造 その5 フランジバックとバックフォーカスについて

NIKON PB-4を使ってのアオリ撮影ではフランジバック(マウント部分のフランジからフィルム面あるいはCCD等の撮像面までの距離)の確保から90mm以上のレンズが適当とされていることは前にも書いた。もっともこれはNIKKORのFマウントレンズがそのまま使えるという意味ではなく、引き伸ばし用のレンズやフランジバックがNIKONのFマウントよりも長い距離のレンズを使用する事が前提だ。この時、使うレンズに合わせてマウント部分を工作する必要がある。
もちろんNIKON PB-4に限らず、他の手段を用いてのアオリ撮影においても同様だ。
ここでフランジバックとよく混同されて言われるバックフォーカスについても整理をしておく。
フランジバックとはカメラボディのレンズを取り付ける金属のリング状の部分、フランジから撮像面までの距離で、各カメラメーカーがそれぞれ独自の数値を採用しており規格化したものだ。
ちなみにNIKON Fマウントのフランジバックは46.5mmとなっている。
他社のフランジバックを幾つか紹介すると、
Leica M Mount→27.8mm
Canon EOS Mount→44.0mm
Minolta α Mount→44.5mm
Olympus OM Mount→46.0mm
Nikon F Mount→46.5mm
Mamiya 645 Mount→63mm
Bronica ETR Mount→74mm
Hasselblad Mount→74.9mm
Pentax 67 Mount→85mm
Mamiya RZ Mount→104mm
Mamiya RB Mount→111mm
35mmフォーマットではNIKONが比較的長いようで、ブローニー版のカメラではさらに長いフランジバックが設定されている。
ちなみにCanon EOSのボディにNIKON用交換レンズを取り付けることは、フランジバックの数値に2.5mmの差があり、この差を埋める専用のアダプター等を使用すれば簡単にできるが、逆にNIKONボディにCanon EOS用のレンズを取り付ける事はできない。仮に取り付けたとしても、無理矢理ボディにめり込ませるような取り付け方をしない限りは近接にしかピントが合わず、無限遠が出ないのだ。
そして、バックフォーカスとはレンズの設計上生まれる数値で、レンズの後端から撮像面までの距離のことである。この数値については何ら規格化されたものはない。したがって、同じ焦点距離、開放F値を持ったレンズであってもバックフォーカスは様々である。
強いて言えば開放F値の数字が大きい(暗い)、望遠系のレンズは比較的長いようである。上の写真はPC NIKKOR 28mm F3.5とNikkor Auto 28mm F3.5の比較であるが、PC NIKKOR 28mm F3.5の特殊な素性が分かると思う。
シフトさせるためにレンズの後端付近はすっきりと何もなく、かつバックフォーカスを長くしているのが見て取れる。
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2007年08月24日
機材の改造 その4 NIKON PB-4を使ったアオリ撮影 近距離編

もっと近距離でのBP-4 + SIGMA 28mm F1.8改での広角アオリの作例が見つからないのでチョコチョコっと撮ってみた。
5本のレンズを一列に並べてピント領域の変化を比較している。上がアオリ撮影だ。下はF値が同じ別のレンズで撮影したもの。いずれも絞りは開放。被写体までの距離は撮像面までで、一番手前のレンズが28cm、一番奥のレンズが55cmでこれも両方とも同じにしてある。アオリ撮影の方は危ういが何とか全部のレンズにピントが合い始めている。しかし、このシステムを使う気にさせない最大の理由は、とにかくピントが合わせづらい。そりゃ当然だ。本来は下の作例のような領域にしか合焦しないところを、無理矢理に引っ張っているのだから、F1.8というスペックもNIKON用レンズとしては明るい部類に入るので、ボケ味にこそ評価のポイントがあるのかもしれない。またトリミングしているので分からないが、アオリの方は各レンズの数字の刻印部分にのみピンが来て、その後方はボケているという何とも不自然な写り方になってしまった。もしも全てのレンズにピントが欲しいならここはやはり、素直に絞り込んでパンフォーカスを期待すべきだ。さらに被写体の変形をコントロールするならば、このシステムでも十分使えるが、建築物を撮影する場合に多用するであろうフロントスタンダードのライズ、フォールはシステム全体を90°ひっくり返さねばならない。そうなると、PC NIKKOR 28mm F3.5の方が断然ハンドリングがよい。以上のようなことから使い道の定まらないシステムとなってしまった。
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機材の改造 その3 BP-4 + SIGMA 28mm F1.8改 詳細

まず、NIKON PB-4について説明すると、30年も前の純正のベローズシステムで、これを使ってマクロ撮影や、スライドの複写などができる。このPB-4にはフロントスタンダードのスイング、シフト機能が備わっており、大判カメラをそのまま小さくしたようなところがある。
このPB-4を使ってアオリ撮影を行うというのはよく知られたところであり、暗室作業で引き伸ばしに使用される90mm以上のレンズなどがよく使われている。これらのレンズはコンパクトなので凹みボード状のものを作ることができれば割と簡単に取り付け、無限遠が出せる。イメージサークルも広くアオリ、シフトを駆使することができるので、商品カットなどでは非常に重宝する。
しかしもっと広角域でピントをコントロールできないだろうか?そんな疑問もあって、実際に行ってみたわけだ。
取り付けているのは、何とも手作り感たっぷりのレンズだが、もとはSIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8Ⅱ、れっきとしたAFレンズだった。これを分解してヘリコイドおよびAFに関するユニットを全て取り去った。レンズとそれを支えるケースの状態にし、前群後群に分けネジで着脱できるようfig.3の様に改造した。金色の部品はとりあえずのもので、コーヒーの缶を切り刻んで作った絞り羽根を動かすレバーだ。
fig.1はPB-4にD200とSIGMA改を取り付けた状態。実際に撮影するときにはこれにビニール製の蛇腹が加わる。なぜこのレンズに目をつけたのか、理由はfig.2にある。このレンズの断面図を見ると絞り羽根から後ろの部分がレンズのユニットのみの状態でにょっきりと出ている。これならば後玉の部分がカメラ内部に入り込み、バックフォーカスをクリアしつつシフトスイングが可能なのではないかと考えた。入手したレンズはジャンク品でAFが正常に作動しないというものだった。ドナーとしては最高の条件を備えていたのだ。
結果からみれば、一応の効果は認められる。ただ画質に難がある。理由はSIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8Ⅱには距離に応じてレンズの繰り出し量を変化させる機構があったのだが、それを取り去ってしまったこと。さらにイメージサークルは十分に確保できているが、想定外の部分を使用していることによる収差や流れが確認できる。
以上のような理由から、このシステムは現在お蔵入りとなっている。
しかし、このプロジェクト(大げさ…)を始める前から予想していた部分と、実際にやらなければ分からなかったことがあったというのは大きな収穫だった。
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機材の改造 その2 改造レンズをNIKON PB-4に

では、次にNIKON PB-4に改造レンズを取り付けて撮ってみた。ベースとなったのはSIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8Ⅱである。機材については後に詳しく説明する。
レンズは28mm F1.8で同じく開放にセットした。これを撮像面に対してシフトとスイングを併せて行っている。つまり大判カメラと同じ機構を与えているわけだ。その成果があって、後方のヘルメットにまで一応ピントは来ている。
この日は風が強く、晴れたり曇ったりの状態だったので雰囲気が違うが、容赦願いたい。細かく見ていくと、いかに薄いピント領域を無理矢理引っ張っているかが分かると思う。フロントのウインカーレンズを見ると、向こう側の方は早くもぼけている。また元々想定されているイメージサークルを大きく超えた範囲を使っているので収差や流れも発生しているようだ。
被写界深度の深い広角レンズといえども、被写体との間合いによっては過焦点距離によるパンフォーカス撮影が困難な場合があるわけだが、このシステムを使用することで、奥行きのある被写体でも端から端までピントを合わせることが可能であることが実証できた。
ともかく、普通のレンズでは撮れない写真を得られた事の意味は大きい。作例ではあえて開放で撮っているが、さらに絞り込むことで解像感はさらに向上する。
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