2007年11月05日
ステッチングマシンを作る その13 縦横君をスイングさせる

NIKON PB-4のリア部分を作り替えたことで、縦横君を昇降させることができた。次はいよいよ、スイングさせる仕組みを製作する。前回の報告時にはすでに出来上がっている写真を載せた。昇降する部分の天面が丸い造形となっているのがそれだ。またも思いつきで各部に名前を付けてみた。昇降する部分はエレベーター。上の写真の角度だと構造がよく分かると思う。エレベーターの天面にはこのように中央の馬鹿穴を中心とした同心円状にレールが形成されている。回転テーブルのウラ面にはこのレールがピッタリ合わさるように加工を施した。回転させるときの摺道抵抗を少なくしつつ、正確な円軌道を描いて回転するための工夫だ。そして回転テーブルを固定するために、インナーローターが回転テーブル中央の穴にすっぽり入る。写真では見にくいが、インナーローターにはエレベーターと噛み合うように突起を付けている。つまり、エレベーターとインナーローターは回転テーブル固定ボルトによって、がっちりと勘合し、回転テーブルが抜けないようになっている。この3つの部品を組み立てると、左のようになる。
で、めでたくスムーズにスイングする事を確認(喜)。簡単にできたように書きましたが、本当はすごく大変でした。何が一番大変かというと、フライス盤で丸い形状の部品を作ること。本来インナーローターのような部品や回転テーブルとエレベーターに切削したレールなどは旋盤で作るべきなんだと思います。それを「ロータリーテーブル」という特殊な回転するバイスで、作ろうとしたもんだから、なかなか精度が出ません。「ロータリーテーブル」自体の剛性や精度が出ていないと、加工した部品が微妙に狂ってしまうのです。フライス盤による加工は、機械の精度以上のものはできないのだと確信しました。次に、回転テーブルにテーブル固定ノブを取り付けて、しっかりと固定されることを確認。このテーブル固定ノブは回転テーブルを貫通し、インナーローターの側面に食い込み固定する働きをします。
いよいよ、回転テーブルに縦横君を取り付けます。この二つの部品は、アリミゾによってスムーズにスライドするようになっていますが、縦横君のカメラ固定ノブの取り付けスペースや、回転テーブル上で縦横君を固定するためのレールを備えるために複雑な形状にせざるを得なくなってしまった。ガタもなく、スムーズな動きができるようなアリミゾ加工は図面通りに作ればOKかというと、それでは全く駄目で、先に縦横君を加工してそれをあてがいながら、回転テーブルを少しずつ切削加工している。もっとも、こんな複雑な形状にする必要があったのかは疑問ですが…。
はい、こんな感じでスイングとシフトするシステムが完成しました。もちろん昇降します。
一応、これで、ステッチングマシンの主要な部分はできました。ちなみに写真のGITZOの雲台をのぞいた状態でちょうど2kg。新しく作った部品はほとんどがアルミとジュラルミンなので、まあ軽量にできたのではないだろうか?(重いですか?)もう少し肉を盗むこともできそうだが、強度のこともあるので、しばらく様子を見ることにする。さあ、いよいよ撮影!んが、しかし、厄介なものが残っています。それは、蛇腹…。
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2007年10月28日
ステッチングマシンを作る その12 縦横君を昇降させる

NIKON PB-4のシャフトを止めているリア部分の部品を作り替えた。つまり、シャフトを固定しつつ上下移動するための機能を持たせることにしたのだ。今回はこの部分に絞って報告する。構造は、両サイドにアリガタを成型し、ここに逆Uの字型の部品が差し込まれる。この部品に縦横君が乗っかることになる。それをPB-4の4本のシャフトに合わせて4つの穴を開けたプレートが押さえつけ固定する仕組みだ。固定方法は、写真で分かるとおり、シャフト固定部品を貫通したレバーをねじ込むことでプレートを引き寄せ、逆Uの字型の部品の動きを止める。
操作方法は、レバーを反時計方向に動かし、緩める。その状態で逆Uの字型の部品を下から持ち上げる。今はなんの印も付けていないが、ステッチングで必要な目盛りをつけることとする。ちなみに目盛りの単位となるのは、カメラの撮像面から若干のマージンを引いた大きさとなる。さらにはそれを縦用と横用を目盛る事になる。現在までのところ未だ実現していないのだが、目盛りに合わせて、クリックストップを付ければ、より使いやすいだろう。
で、必要な場所まで持ち上がったら、レバーをロック方向へ回して、固定する。フロントスタンダードには微動装置が必要だと、さんざん言ってきたが、逆にこの部分はスピードが要求されるので、微動装置ではかったるいことになると考え、このような仕組みにしたわけだ。移動距離は現在取り付けている部品では75mmまでOKだ。この逆Uの字型のサイド部分の長さを変えてやれば、4×5の長辺をカバーする92mmにも対応できるようにはなる。(今回は材料の長さが足りなかったのです、実は…)Posted by 天一郎 : 12:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年10月27日
ステッチングマシンを作る その11 フロントスタンダードの取り付け

NIKON PB-4のフロントスタンダードの上部を取り外し、代わりにWISTA45の「鳥居」を取り付けるための部品を作った。すでにウレタン塗料で黒く塗っているのでわかりにくいが、結晶塗装の部分が、PB-4本来の部分である。その上に乗っかっている「つや消し黒」の部品が今回作製したものだ。取り外した部品と同じ寸法のアリミゾを彫り、PB-4とドッキングさせている。しかし、このアリミゾは固定してしまう。で、上部の片側だけのアリミゾレールにWISTA45の「鳥居」を乗せて前側からもう片方のアリミゾを彫った別パーツをあてがい、ネジで締め込む。
これが、WISTA45の「鳥居」を取り付けた状態。PB-4のスイング機構は残してあるので、このようにスイングする。ロックレバーもきちんと機能している。ちなみに、入手したWISTA45はごく初期の物で、状態はすこぶる悪かった。部品として必要な、フロントスタンダード部分は欠品もなく一応機能したので入手した。しかし、見るに堪えない状態であったので、無塗装部品は全てバラして磨き上げ、昇降させる金属ノブも現代的なプラスチックノブに取り替えた。また、塗装部品は全てつや消し黒のウレタン塗装を施した。
シフト動作は、前面のノブを緩めて、手でずらす。だが、正確な動作は望めないので、本当はラックアンドピニオンで微動させたい部分だ。さらには、センターに戻ったことが分かるように、クリックストップも欲しい。WISTA45では「鳥居」の下部分に目印となる赤いドットが付いていて、大まかにセンターであることが分かるようにはなっていた。しかし、今回作製した部品は、可能な限り低い状態で取り付けられるように設計したので、前部のノブが下方向斜め45°で取り付けている。そのため、肝心のドット部分が隠れてしまい用をなさない。目盛りを入れて対処は可能だが、使ってみてどうしても改善の必要が出れば、フロントスタンダードをそっくり作り替えるつもりだ。
で、レンズを取り付けて動作させてみた。レンズはMamiya RZの50mmだ。リンホフ規格の3番のレンズボードにジャンクのRZ用アダプターリングのマウント部分を取り外し、ボードにビスで固定している。イメージサークルの小さな67用レンズで、ここまで大きく動作させることはまず無いのだが、一応動きますってとこを見せたかったのです。ただ単に。Posted by 天一郎 : 22:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年09月30日
ステッチングマシンを作る その10 フライス盤のグレードアップ!

フライス盤を導入したおかげで、ステッチングマシン製作も計画通りに進んでいる。やはり、考えた通りの部品を作れるということはすばらしい。と、言いたいところだが、実際にはこれまでに大変な苦労を強いられてきた。まず最大の問題は、「うるさい!」。金属が削られるときに出る音は実は大したことはない。それよりも、フライス盤のモーターの動力を変速するためのプラスチックギアが「ガラガラ」とけたたましい音を立てる。もう、本当に壊れそうな勢いで鳴る。どうやら、この機種特有の問題で、最悪の場合ギアが割れてしまうらしい。これは何とかしなければと、ネットを徘徊。見つけました、ベルトドライブに変換するキットを。米のLittleMachineShopというところで扱っています。
http://www.littlemachineshop.com/
実はこの機種世界中で売られていて、なかなか人気があるらしい。海外ではフライス盤は一家に一台は当たり前みたいだ。いや、ホントは違うと思いますが、それくらい半端じゃない情報量がありました。このベルトドライブなんてカワイイもんで、中にはコンピュータで制御できる「CNCキット」なんてモノもあります。CADみたいなソフトで設計した部品を勝手に削り出すんですよ!これは欲しい。いつか必ずやってみたいですね。で、ベルトドライブキットを早速注文、待つこと1週間。取り付け1時間。感動しました。すごく静かに作業できます。
それからもう一つの問題。フライス盤の切削能力。ステッチングマシン自体はアルミやジュラルミンを材料としている。これらの金属は比較的加工しやすい部類に入り、実際私のフライス盤でも加工できる。しかし、荒削りしたいときなどはパワー不足が露呈する。削り込む深さと面積を大きく、しかも早く削りたいときなどは、エンドミルが材料に食い込んで、止まってしまうのだ。それから、アルミばかりを削るわけではなく、例えば材料を固定する治具などを作らなければならないことがあり、その際は鉄やステンレスを使う。特にステンレスは厳しい材料だ。硬いし、粘る。出来れば使いたくない。まあ、所詮「ミニ」フライス盤だから、と納得するしかないのかと思っていたら、切削能力が格段に上がる方法があるということが分かった。やはり、この機種に特有の問題なのだが、テーブルから上の部分がスイングするのだ。しかし、本来は特徴となるはずだった機構である。加工物に対して刃物に角度をつけられることで、加工方法のバリエーションが広がるのだが、この機構のせいでフライス盤自体の強度が下がってしまっているのだ。具体的には、硬い材料の切削や深い切り込みを行う時には、大変な力が発生する。この力を受け止められないと、刃物がびびって切削面が荒れたり、最悪の場合刃物が材料に食い込み、折れたりする。この時、作業者に向かって飛んでくるかもしれないので危険だ。なので、この部分を補強するキットがある。Aミニマシンツールというところで販売されている。モノとしては3枚の鉄板だ。2枚をフライス盤の下に入れて、ボルトで固定する。もう1枚はフライス盤の背面に立てて、固定する。これだけで全体の剛性が飛躍的に上がるのだ。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~a-minimachine-tool/index.htm
このフライス盤は個体差が大きいので、各部の寸法を正確に計った上で注文する。約2週間で届く。取り付け2時間。いや、取り付け自体はすごく簡単だが、その後のセッティングに時間をかけた。効果は、すんごい!まるで別物の機械になったみたいです。鉄なら、バリバリ削れます。ステンはやはり難しいけど、まあ、なんとかいけるかな。削る量が増やせることもさることながら、切削面が綺麗に仕上がるようになったのは、うれしいっす!
Posted by 天一郎 : 02:54 | コメント (0) | トラックバック (0)
ステッチングマシンを作る その9 全体像を描いてみた

さて、縦横君が出来たのでそろそろ他の部分を製作しなければならない。本来、縦横君は独立した機材ではなくステッチングマシンの一部でしかない。このままでは三脚に固定すらできない。
プランとしては、NIKON PB-4をベースとする。理由は、コンパクトであることと、デザインが美しいから。この「美しさ」っていうのは、クリエイティブな作業に使用する道具には絶対に必要な条件だと、個人的に思ってます。で、PB-4で特徴的な4本のレールが織りなすスタイルは繊細で、どこか管楽器の風情を感じる。ただ、強度的には不利な面もあり、レールの真ん中あたりでは「たわんで」しまうのだ。だから、本当は現行のPB-6のようなブロックから削り出したモノレール構造の方が良いのだと思う。しかし、フロントスタンダードのスイングシフトが出来るのはPB-4だけなのだ。
そして、このフロントスタンダード部分にはWISTA45というフィールドカメラの「鳥居」部分を移植する。何故、WISTA45か。やっぱり、カッコイイから。あと、やはりコンパクトであること。しかし、中古カメラ店で実機を見せてもらったが、設計が古いのか、部品点数を減らしたかったのか、ちょっと?な部分がある。それは左右方向へシフトさせる部分に微動装置が付いておらず、手で直接動かすのだ。おまけに目盛りもないから、勘に頼るしかない。せめてセンターに来たことが分かるように、クリックストップは欲しいところだ。まあ、これでやってみて、どうしても満足できなければ、ラックアンドピニオンの微動機構を後付けするか、いっそ新たに製作しても良いだろう。上の図で示しているように、PB-4に本来ついているフロントスタンダードの上部を取り外し、WISTA45の「鳥居」を取り付けるための部品を作らなければならない。そして、縦横君を取り付ける部品も必要だ。この部分では「ステッチングマシンを作る その2」で検証したように、縦横92mm動かせなければならない。左右方向へは比較的簡単で、アリミゾを彫ることでクリアできる。頭が痛いのは、上下方向へ動かせるようにしなければならないことだ。何しろ大切なカメラを乗せるのだからしっかりと固定できるようにしなければ。さらに、スイングできたりするとなお良しである。
そして、最も重要なことは、PB-4本体を加工しないこと。だって、もったいないじゃん。
ちなみに、図の下、中央の真横のイラストに示しているのは、MamiyaRZレンズのフランジバック距離を再現した。薄く表示しているのはPENTAX67レンズのフランジバックだ。つまり無限遠にピントを合わせたときの位置となる。
いずれの場合も、スイング・シフトの領域は十分確保できている。
Posted by 天一郎 : 01:29 | コメント (2) | トラックバック (0)
2007年09月16日
ステッチングマシンを作る その8 各部の詳細

では、縦横君の使い方であるが、まずカメラ底部にマウントプレートを装着する。市販のクイックリリースシューとほぼ同じような形状となっているが、D200専用と言うことで過度な強度を持たせることはせず、軽量に薄く仕上げた。また、D200底部のゴムプレートの凹凸まで再現している。これは可能な限り密着させるための処理で、ぐらつきを排除すると共に、マウントプレートがカメラを傷つける事を防止した。結果、マウントプレートが取れなくなってしまうほど、ピッタリと張り付いてしまうので左下のように空気を取り入れる小さな切り欠きを設けた。
カメラをマウントベースにスライドさせて取り付ける。カメラ固定ノブを締め込むと固定プレートがマウントプレート上部の斜面をくわえ込み押しつける。マウントプレートのアリガタの構造はアルカスイス規格のクイックシューと同様の形状を採用しているが、事前の調査が足りなかったせいで残念ながらアルカスイス規格のクイックシューに固定させることはできない。寸法が1mmほど小さいのだ。しかし、マウントベースにはまだ加工できる肉厚が残っているので、よほどの必要性を感じたらマウントプレートの作り直しをしてもかまわないと思っている。
わかりやすいようにカメラ固定ノブを取り外している。横位置の時はこのように、Hアームが水平になっており、側面に刻まれたアリミゾをアングル固定ノブが押さえつける。ここで改めて、アリミゾ、アリガタの説明をする。アリミゾは60°あるいは45°の角度を逆三角のように側面部分につけることでレールとして機能する。アリガタはこのレールの中に差し込まれる部品にアリミゾと同形状の側面を持たせたもであり、レールからはずれることなくスムーズに動かすことができる。また斜面であることから、例えば真横方から力を加えた場合、下方向へ押しつける働きも期待できる。つまり、多少クリアランスがあったとしても、締め付けたときに精度を出しやすい構造と言える。さらに、レール形状のものだけではなく、クランプする部品にもこの作用は有用である。この縦横君でもいろんな部分でこのアリミゾ、アリガタの構造を採っており、Hアームをアングル固定ノブおよびそのプレートが真横から締め付けた際、同時に下方向へ押さえつける力も働くため結果、マウントベースと基台ががっちりと固定される。
縦位置にした状態。サイドガードが基台上にピッタリと乗っかっているのが分かるだろうか。側面にはやはりアリミゾを刻んでいる。この状態でアングル固定ノブを締め込めば、横方向、下方向へ力が働きがっちりと固定される。
基台に設けられたリブ部分。これが、アングル固定ノブの締め付ける力を受け止めている。当然、Hアーム、サイドガード共にこのリブに接する部分が設けられており、締め付けの力を逃がさない構造になっている。
変し〜ん!アングルが変わる途中の状態。スリッパーはサイドガードに可動するように取り付けてあり、基台のアリミゾを滑っていく。縦位置時、横位置時は安定した状態を保っているが、アングル変換中の安定性を求めた結果このような構造とした。カメラの重量をHアームとスリッパーがしっかり受け止めているので安心感がある。また、動きもスムーズであり、ガタついたり引っかかったりもしない。途中いくつかの試作ではスムーズな動きを得ることができなかった。原因は主にカメラの重量がスリッパーに掛かったときに、スリッパー自体がレールの中で起きあがろうとする動きとなってしまい、構造的ブレーキとなってしまったためだ。スリッパーの形状をソリ、あるいはスキー板のように縦方向の摩擦を横方向へ逃がす形と寸法にしたことで解決することができた。また、スムーズな動きのためにはHアームの精度も重要で、組み立て式ではついにスムーズな動きを得ることはできなかった。1パーツにしたことでシャフトの通る穴の精度が上がったことと、固定のための力を掛けても狂いが出ずにスムーズさは常に安定している。また、軽量化のために大穴を開けたり、肉を盗むことも可能になった。Posted by 天一郎 : 11:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
ステッチングマシンを作る その7 いよいよ製作!

D200専用に割り切ることで、シンプルな構造で縦横君ができそうだった。ちなみにこの「縦横君」という呼び方は広告写真家 / 新藤修一氏の運営するサイト「 新藤修一の仕事場」の中で、カメラをレボルビングさせるデバイスをこう呼んでいる。
新藤修一の仕事場 : http://shindo-s.com/
このサイトでは新藤修一氏の素晴らしい作品はもちろん、毎月テーマを決めた「月例作品展」が催されており、たくさんの方達のアイディアに溢れた作品を見ることができる。また、撮影方法や機材についても氏の独創的かつ進歩的な姿勢で紹介されていて、本当に勉強になります。また、先日私の「縦横君」もご紹介いただきました。その際暖かい言葉を賜り感謝感激です。励みになります。ありがとうございました。さて、本題に戻る。上の写真で示しているのが縦横君のメカとなる。極力少ないパーツで精度が出るように考えてみたものだ。左上から、●基台=中央部にアリミゾが貫いているのが分かるだろうか。この溝にスリッパーが入る。また写真ではわかりにくいかもしれないが、アングル固定ノブで締め込んだときの力を受けるリブが立っている。●マウントベース=マウントプレートをつけたカメラを画面奥の方からスライドさせて挿入し、カメラ固定ノブで締め込む。形状としては3枚歯のゲタの様になっており、横位置の時に基台上でガタつきが出ないように仕上げた。軽量化のため四角くくりぬいている。●サイドガード=カメラの左側面をガードする部分。縦位置の時には基台との接触面となる。●Hアーム=基台上部の突起部分とマウントベース中央部をシャフトで連結している。シャフトは両サイドから頭の部分が薄い特殊な形状をしたボルトで固定する。このような特殊ボルトや黒いプラスティック製のノブなどはNBK 鍋屋バイテック会社でオンラインで1個から注文できる。そのほか自作派には嬉しいパーツがたくさん揃っているので興味のある方は是非ご覧いただきたい。
http://www.nbk1560.com/
以上が、縦横君を構成する各パーツである。それぞれ試作、修正などを含め何個か製作した結果、このような仕様に落ち着いた。特にHアームは当初組み立て式としていたが、精度が必要なこともあり、削り出しの1パーツとした。
ご注意:このサイトで紹介している機材は全て独自に設計製作したものですが、機材を自作される方のお力になれればと公開しています。構造や形状その他ご自由に応用していただければ嬉しいです。また、是非とも皆さんのお作りになった機材などをお知らせください。サイトで紹介して、自作の楽しさを分かち合いましょう。
それから、まさかとは思いますが、絶対にあり得ないと思いますが、「商品化したいんだけど」なんて奇特な方がいらっしゃったら、ご連絡くださいませ!
…そんな人、いるわけないか?
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2007年09月15日
ステッチングマシンを作る その6 欲張らずD200専用で考えてみた

どんな機械でもそうだと思うが、シンプルな構造こそが壊れにくく、かつ精度が出せるのではないかと思う。そんなわけでステッチングマシンではなるべくシンプルな構造で行きたいと思っている。もちろん素人工作なので複雑なものは作れないのだが。で、レボルビング装置をいろいろと見てきたが、どれもが汎用であるがために、複雑な構造を採用せざるを得ないようだ。D200専用と割り切ってしまえば、ごくシンプルな構造でレボルビングができるはず。まずD200を横にした状態と縦にした状態ではどのぐらい寸法に差が出るのかを計ってみると、その差約12mm。ということは横位置の時この12mmの高さがあり、縦にしたとき0になれば良い。光軸が同じ位置で収まるようにするには、図のように回転軸ごと移動してしまえば条件を満たす動きができる。
実を言うと、ここに至るまでにはさまざまな方式でチャレンジしてきた。これは回転レール式をやってみたものである。完全に円形なこの物体は中華料理店などでおなじみの回転テーブルの台座だ。大きなベアリングといった姿をしており、D200のグリップ部分を逃げてやればすっぽりと入る。取り付けは鉄製アングル材をさらにもう一カ所曲げて台座内側のレールにボルトで留めてある。例えばこれを4×5カメラのリアスタンダードに取り付ければ良いのではと考えたわけだ。しかし、そうなると機材の大きさ重さが半端ではないことになる。ここまで作ってみたが、これは却下。今では我が家の食卓上で第二の人生を喜々として歩んでいる。
そして、リンク式でも試みている。この案で実際に制作をはじめたのだが、高い加工精度が必要なことと、回転プロセスでカメラが不安定な状態になってしまう事が分かった。真ん中の図がその時の状態で、リンクバーと回転軸がある角度になるとカメラの重さを支えきれずに回転軸やリンクバーの破断などが懸念されたので、これも却下となったのだった。
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ステッチングマシンを作る その5 縦横君を考えてみる

さて、話は前後するが、フライス盤で部品を作るに当たってすでに多くのポンチ絵を描いている。そのほとんどがレボルビングについてのものだ。ステッチングマシンを作るにあたり、レボルビング機能を装備させることを最重要課題としたのだ。レボルビングとは、レンズ光軸をずらすことなく横位置、縦位置にカメラを回転させることだ。しかしステッチング撮影そのものにレボルビングが必ず必要かと言えば、実はそうではない。むしろ、機材をコンパクトにするためには省略してしまっても良いくらいであるのだが、今後予定している運用方法を考えたとき装備している必要があった。このあたりはいずれご報告する。
さて、レボルビング装置なるものをネットで探すもあまり需要がないのか、それほどの数は見つからない。日本の写真機材メーカーではWISTAぐらいだ。しかしこれは操作が煩雑そうである。そのほか海外製のものなどを眺めていると、おおむねリンク式と円形レール式の二つの方法であることが分かった。それぞれ一長一短がある。リンク式は位置決めがしっかりできそうだが、構造が複雑になる。BRONICAでも作っていたようだが、がっちり作りすぎたみたいで、大きくて重そうだ。おまけに指をケガしてしまいそうである。円形レール式は汎用性は高そうだが最初にセッティングをする必要があるだろうし、縦位置の時はレールの強度に依存している形なので不安定になりがちだろうと思う。
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ステッチングマシンを作る その4 さっそく使ってみた

このフライス盤は中国で生産されたもので、OEMとしていろんなメーカーから発売されている。それだけにある程度信頼できるものなのだろうと高をくくっていた。しかし一筋縄ではいかない。まず木箱を開けてビックリ。真っ赤なゼリー状の防錆剤が、これでもかと言うぐらい塗りたくられていた。購入したのは3月だったので石油ストーブ用の灯油がポリタンクに残っていた。それをウエスに染み込ませて拭き取ろうというのだが、半端な量じゃない。ウエスはみるみるうちにゼリーの固まりと化していく。そこで、プラスチック製の定規でゼリーを大方こそぎ落としてから拭き上げた。次はいよいよ作業台の上に持ち上げるのだが、50kgの鉄のかたまりは相当の根性を要する。うめきながらも何とか持ち上げ、作業台にあらかじめ開けた穴にボルトで固定をした。早速ハンドルを回転させテーブルを動かしてみるが、どうもガタがある。フライス盤の先輩達のサイト情報によると、やはり最初は分解して各部の締め付け直しや場合によってはサンドペーパーなどでの修正が必要だとある。機械の構造自体は恐ろしく単純で分解組み立てにはなんの問題もないのだが、とにかく油で手が汚れる。この時の写真がないのはそのせいだ。とてもじゃないが、カメラを触れる手ではない。そんなこんなで半日を掛け調整を済ませた。テーブルにバイスを取り付ける。この時の精度がそのまま加工精度になるのでノギスを当てながら慎重に行った。適当なアルミの部品をバイスにくわえさせて、エンドミルを取り付ける。電源を投入しダイヤルをひねる。エンドミルが回転をはじめた。さらにダイヤルをひねると回転速度が上がる。どのくらいの速度が適当なのかが分からないのでダイヤルをちょうど真ん中ぐらいにして、ゆっくりとテーブルを動かす。いよいよ切削だ。エンドミルが加工物に触れて切り子が出てくる。そのままゆっくりとテーブルを動かし続ける。削り取られた部分が美しく光っている。感動的な光景である。回転速度や切り込み量を変えながら無秩序にテーブルを後かす。こりゃ面白い!騒音を気にしていたのだが、切削すること自体で大きな音が出ることはないようだ。むしろフライス盤のモーター付近からのカラカラと不快な音の方が気になる。プラスチック製のギアがなっているのだろう。しかし、面白い。そんなこんなで数日間はフライス盤に張り付いていた。材料のアルミやアリミゾカッターなどを揃えて、いよいよ図面通りの加工をはじめた。最初はおっかなびっくりであったが、徐々に操作にも慣れ目的の部品を作ることができた。
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2007年09月14日
ステッチングマシンを作る その3 必要なのはフライス盤だ!

いきなりスゴイ機械が登場してしまったが、かなりの期間を悩んだ結論である。無いモノは作るべし!
で、どういう事かというと、水平移動、垂直移動させる仕組みを考えているうちに「アリミゾ、アリガタ」という言葉に行き当たった。天体望遠鏡などに装備されているさまざまなアタッチメントを取り付ける台形のプレートおよびその形に削り込んだレールだ。マンフロットのスライディングプレートもこのような仕組みになっている。PB-4でもフロントスタンダードのシフトさせる部分がそれだ。光学機器ではいろんな部分に使用されていて、スライドさせて任意の場所でクランプさせる機構としてはスタンダードな仕組みと言える。もしもこれを自由に作れたら、ステッチングマシンは完成したも同然だ。(って、おいおい)
フライス盤とは、ドリルのように回転するエンドミルという刃物で金属を削る機械だ。加工物は前後左右に移動するテーブルに固定し、それぞれハンドルを回転させて刃の当たる場所を移動させる。刃物はミリ単位で寸法があり、形もさまざまだ。そしてアリミゾカッターというのが、その名のごとくアリミゾを削り出すための刃物だ。写真の機械は「卓上フライス盤」とか「ミニフライス盤」などと呼ばれるもので、家庭用100Vで動作する。切削能力はアルミなどを加工するには十分で、使いこなせればいろんなものが作れそうだ。
だが、もちろんこんな機械使ったこともなければ、現物を見たこともない。ネット上で情報を集めるうち、非常に多くの方がフライス盤を使って、天体望遠鏡やミニ蒸気機関車なんかを作っておられることが分かった。そして、私にとって身近なバイクのパーツなども作れてしまう。本末転倒とはまさにこの事だ。頭の中は「何でも作れる万能マシン、フライス盤」のことで一杯になってしまった。そのうえ思っていたよりも低価格で、ラボジャッキよりも安いことが分かった。気がつくと、重さ80kgの大きな木箱が汗だくのクロネコヤマトのお兄さんと共に玄関に立っていた。
ちなみに購入先はスリースカンパニーというところだ。対応も丁寧で安心できる業者である。
(写真、勝手に使わせていただきました)
http://www.threes.co.jp/
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2007年09月13日
ステッチングマシンを作る その2 まず何が必要なのか?

前の記事では、大きくカメラを移動したときに発生する「ケラレ」の問題について触れたところまでだが、この問題についてはある程度の回避方法もあるように思っている。例えば、レンズの中心、いわゆるノーダルポイントを中心として撮像面を円運動で移動させるとか。ただその場合、レンズ設計時の収差を回避する設定を反故にしてしまう可能性もあるわけだが。いずれにしてもデータを収集できる、しっかりとした機材を早急に作る必要がある。ベースとなるのはNIKON PB-4が良いだろうと考えている。このPB-4にカメラを安全に水平垂直に移動させる部品を付加する。まず、移動量はどれくらい必要なのだろうか。4×5サイズをターゲットとするならば横5列、縦6列の計30カットが必要で、その際横方向に92mm、縦方向に75mmを確保しなければならない。もちろん縦位置でも記録したいのであれば、両方向へ92mm移動できなければならない。

早速手持ちの機材を眺めてみると、水平移動にはマンフロットのスライディングプレートが使えそうである。私が持っているものはロングプレートと呼ばれるもので、プレート自体は200mm程の長さがある。移動量は160mm程あるので十分だ。

残るは垂直方向への移動であるが、残念ながら手持ちの機材の中にはこれだ、というものがなかった。ネットでいろいろと調べてみると、ラボジャッキなるものが精密で作りもしっかりしているので良さそうだ。この2つを組み合わせれば、機能的には要件を果たすだろう。しかし、如何せん価格的な問題がある。ラボジャッキはあまりに高価だ。それに元々微動装置なので1cm持ち上げるためにはノブを何回転もさせなければならない。またラボジャッキと同様に2軸ステージというものもあるのだが、やはり微動装置であるため92mmというスパンを有してはいなかった。
いろいろと調べた挙げ句、写真機材でマクロスライダーというものがあることを知った。これは前後左右にカメラを移動させるものだが、これを立てて使えばいけるかもしれない。で、早速オークションで入手してみた。

現物を前にしばらく頭を抱えた。確かに縦横への移動には使えそうであったが、カメラの取り付け方法やPB-4との折り合いがつかない。こうなったら一から作るしかないのかもしれない。
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2007年09月11日
ステッチングマシンを作る その1 そもそもステッチングって?

言葉の意味は、小さなパーツをつなぎ合わせて大きなものに仕上げるってとこだろうか。
つまり、APS-Cサイズの撮像素子を縦横に動かして、6×7(cm)や4×5(inch)等の、より大きな画像を得ようというわけである。それを可能にするためにはいくつかの条件が必要だ。まずはじめに、イメージサークルの大きいレンズ。これは当然6×7や4×5カメラ用のレンズを選ぶことになる。そして、D200を正確かつスピーディーに移動させるための機材。中でもスピーディーさはとても重要なポイントになるだろう。屋外ロケなどで風が強い時などでは、刻一刻と光の条件が変化するためだ。しかし、どんなに頑張って素早く動かしても、流れる水や移動する被写体は撮影できない。これはステッチングの最大の欠点であるが、要は被写体を選ぶ撮影法であると割り切るしかないのだろう。しかし、その効果には大きな期待ができそうである。上に示した図は、D200のAPS-Cサイズ撮像素子の面積と、6×7や4×5のフィルムサイズを並べたものだ。6×7相当の面積を撮影するためには横3列、縦4列の計12カットを撮ればよい。4×5ならば横5列、縦6列の計30カットでやや小さいが概ね4×5サイズとなる。この時得られる画素数は後のつなぎ合わせるためのマージンを考えて1カット1000万画素としても6×7でおよそ、1億2千万画素。4×5に至っては3億画素となる。恐ろしい画素数だ。しかし、同時にいくつかの疑問や不安がよぎる。疑問とはRAW画像として記録するべきなのか、ということ。データ量の問題もあるのだが、あまりに手間がかかりすぎやしないかと、思ったりする。不安は、つなぎ合わせるためのアプリケーションだ。Photoshopで全て行うにしても、かなりの覚悟が必要だろう。そして、もう一つの不安は構造的な問題だ。そもそもD200にしろ他社の一眼レフデジタルカメラにしろ、ステッチング撮影を考慮したカメラなど存在しない。どういう問題が起きるかと言えば、広い面積を撮影しようとして移動量を大きくした場合、マウントリングやボディそのものがケラレの要因になるかもしれないと言うことだ。いろいろ調べているうち、次のような記事を見つけた。
http://www.luminous-landscape.com/reviews/cameras/Horseman_LD.shtml
ホースマンLDは前の記事でも紹介したプロ用機材だ。したがってレビューや実例の紹介などはほとんど見つからないのだが、ここでは詳しく紹介されている。この中でもやはり大きな移動量の時の、ケラレ=ビネッティングとして問題視されている。
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2007年09月03日
機材の改造 その8 ホースマンLDとマクロビュー503

デジタルカメラがフィルムカメラを圧倒しているのはプロの世界でも同様であり、様々なデジタルデバイス製品がリリースされている。たとえば、Phase OneのP+シリーズはHasselblad V, Hasselblad H1,Mamiya 645AFD,Contax 645に対応したデジタルバックで、P45+は7,216×5,412ピクセル、3900万画素の画像を生成する。しかし、あくまでフィルムの代わりにCCDを配するという発想だ。
アオリ撮影を前提とするならPhase One FX+for 4" x 5" camerasを選ぶことになるのだが、驚くのはそのスペックで1億3千万画素の画像を生成する。価格も驚きの¥5,040,000(税込)。これにプラス取り付けアダプター¥420,000(税込)が必要だ。こんなシステムで一体何を取ればいいのでしょうか。
もうちょっと現実的なところで、(株)駒村商会のホースマンLDがある。これは、同社のホースマンLシリーズという大判カメラシステムにキヤノンEOSマウント/ニコンFマウントのデジタル一眼レフカメラを装着するもので、とてもよく考えられた製品だ。
http://www.komamura.co.jp/digital/LD.html
価格も、一通り揃えたところで、¥400,000でおつりが来る。Phase Oneを見たあとでは、思わず買ってしまいそうになる価格だ。もちろん、冷静になれば自分の財政状況ではかなり無理があるのは明白だ。しかしこのあと私が歩んだイバラの道を思い起こすと、素直にこのホースマンLDを買った方がよかったかもしれない。もしもデジタルカメラでアオリ撮影をされたい方がいたら、ホースマンLDを強くオススメする。
また、大判用レンズは使わない、もっとコンパクトなシステムを所望されるならワイズクリエイトから販売されているマクロビュー503も良いかもしれない。
http://www.yscreate.co.jp/info/origin.html
ともかく、これらの商品で素晴らしいのは、カメラをマウントする部分の作り込みだ。どちらも、中判用レンズの取り付けが可能となっているが、忘れてはならないことにフランジバックがある。この数値をクリアしつつ、アオリの動作領域を確保するためには、カメラボディをマウントする部分を限りなく0に近づけなければならない。なおかつ、カメラ自体を回転させるレボルビング機能までも考慮しなければならない。ちなみにNIKON PB-4のカメラボディのマウント部分は良くできており、レボルビングも可能だが、いかんせん厚みがあり、フランジバックを考えるといかに中判用レンズであっても動作領域に割り込んできてしまう。その点、両商品は薄いプレート状のボディマウントを採用しているため自由度はかなり高いようである。
しばらくは、この2つの商品のことをもっと知る必要があると感じ、検討、研究する中で非常に重要なキーワードを見つけ出した。
これまで画素数が足りないと嘆いていた私に一筋の光明を与える画期的な着眼点。
それはステッチング撮影だ。
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機材の改造 その7 大判・中判カメラを研究してみる

NIKON BP-4 + SIGMA 28mm F1.8改によって、アオリという新たな撮影方法の可能性が見えたわけだが、ならば本家本元である大判・中判カメラのことも研究の対象とすべきなのは当然の流れである。まず大判カメラといえば、4×5(しのご)と言われるビューカメラが思い浮かぶわけだが、何しろ機材がでかい。おまけにピントグラスに写る被写体は上下左右が反転したもので、かぶり布をしなければまともに見ることもできない。また撮影の手順も複雑で、フィルムも一枚ずつ装填しなければならない。
とても私に扱える代物ではない。しかし、撮り上がったポジフィルムにはとんでもない情報量があり、これをドラムスキャナで読み込んだデータには比肩するものがない。また、カメラ本体にはアオリによって被写体をかっちりと撮り上げるための機能や工夫が満載であり、大いに参考になる。メカニズムとしては意外に単純で、前後左右および上下の移動と回転の動作を組み合わせただけだ。ただし精度と操作感が重要で、大判カメラの価格差はほとんどがこの部分の出来の善し悪しに関わっているのだと思う。レンズには絞りとシャッターユニットが組み込まれており、レンズボードさえ用意すれば使えるレンズは非常に多い。続いてブローニー判のフィルムを使用する中判カメラだが、ハッセルブラッド、MAMIYA RB/RZのシリーズ、古くはBRONICA、PENTAX 67等が思い浮かぶ。以上は6×7(cm)だが、MAMIYA、PENTAXでは6×4.5(cm)判のカメラが存在する。ちなみにMAMIYA ZDは2130万画素のデジタルカメラであり、同社のMamiya645AFレンズ群を使用する。
以上は、単体ではアオリ撮影はできない機種だが、FUJIFILMのGX680IIIは標準でアオリ機構を備えたカメラである。(GX680IIISはのぞく)このGX680IIIは中判カメラのボディの先端に4×5カメラのフロントスタンダードを小さくしたものを取り付けたような形となっており、用意されるレンズ群とは蛇腹を介して結像する。さらには有効画素数2068万画素のデジタルバックも用意されていたが、需要家渡し標準価格2,380,000円(税抜き)と、大変な価格がついていた。大体、需要家渡し標準価格ってなんのことでしょうか?なお、このデジタルバックは2006年12月をもって出荷を終了している。
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2007年08月29日
機材の改造 その6 フランジバックの呪縛

BP-4 + SIGMA 28mm F1.8改でもう一つ確認したいことがあった。
それは、このフランジバックという縛りから逃れる事ができればもっと多くのレンズが使用できるのではないかということだ。そしてこれは無限遠を確保しつつシフトやスイングの動作領域を十分確保することも可能となるはずだ。しかし、そのためにはレンズ本体の大がかりな改造を伴うのだが…。
同じようなことを考え実践している方の記事を見つけた。
ノルウェーのネイチャーフォトグラファー、Bjørn Rørslett(ビョルン・ルールスレット)氏のサイトに詳しく解説されている。
The PC-Nikkor 28 mm f/3.5 Modified Tilt/Shift Lens
http://www.naturfotograf.com/index2.html
(なぜか、目的のページのURLが表示されないので次の順でたどる
左のメニュー「Lenses」→右ページの表示が変わるので下の方「Wide-angles (14-35 mm)」→レンズ評価のページになるので下の方「28 mm f/3.5 PC-Nikkor」この本文中に「TS 28」とリンクの張られたテキストがあるのでこれをクリック)
氏はPC NIKKOR 28mm F3.5に与えられた素質をさらに高める工夫をされている。
PC NIKKOR 28mm F3.5はシフトさせて使用することが前提なのでイメージサークルが十分に広く設計されている。当然その際の収差も考慮されているはずだ。しかも上の写真からも分かるとおり、レンズ後端はフランジよりも4mmほど前方にあり、バックフォーカスは十分に長い。
ルールスレット氏はPC NIKKORが「本当のシフトレンズ」(氏のサイトの中ではティルトと表現されているが、私がスイングといっていることと同義である。そして、このティルトとシフトの両方ができなければ、本当の意味でシフトレンズとは言えないと氏は言う)に成り得ると考え、ヘリコイドからマウントまでを取り去り、小さなベローズに取り付けている。このあたりは私のSIGMA 28mm F1.8改と同様の考えのようだ。
サイトにはいくつかの作例が載せられており、近景から遠景までしっかりピントの合った作品が見られる。
ルールスレット氏の試みは偶然にもBP-4 + SIGMA 28mm F1.8改が目指したものと全く同一のアプローチである。氏もまた、ピント領域のコントロールのため、今となっては希少な一本の尊いレンズを犠牲にしている。私のジャンクレンズとは気合いが違うのだ。(私なんかと比べちゃ失礼ですよね。すみません)
また、ルールスレット氏はたくさんのレンズの評価を行っていて、とても参考になる。私の気に入っているレンズが高い評価を与えられていたりすると、なぜかとても嬉しい。英語で書かれたサイトだが、今は便利な世の中だ。サイトの自動翻訳等を使用すればで多少ヘンテコな日本語になってしまうが、意味は十分理解できるはずだ。
ぜひご覧いただくことをオススメする。
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機材の改造 その5 フランジバックとバックフォーカスについて

NIKON PB-4を使ってのアオリ撮影ではフランジバック(マウント部分のフランジからフィルム面あるいはCCD等の撮像面までの距離)の確保から90mm以上のレンズが適当とされていることは前にも書いた。もっともこれはNIKKORのFマウントレンズがそのまま使えるという意味ではなく、引き伸ばし用のレンズやフランジバックがNIKONのFマウントよりも長い距離のレンズを使用する事が前提だ。この時、使うレンズに合わせてマウント部分を工作する必要がある。
もちろんNIKON PB-4に限らず、他の手段を用いてのアオリ撮影においても同様だ。
ここでフランジバックとよく混同されて言われるバックフォーカスについても整理をしておく。
フランジバックとはカメラボディのレンズを取り付ける金属のリング状の部分、フランジから撮像面までの距離で、各カメラメーカーがそれぞれ独自の数値を採用しており規格化したものだ。
ちなみにNIKON Fマウントのフランジバックは46.5mmとなっている。
他社のフランジバックを幾つか紹介すると、
Leica M Mount→27.8mm
Canon EOS Mount→44.0mm
Minolta α Mount→44.5mm
Olympus OM Mount→46.0mm
Nikon F Mount→46.5mm
Mamiya 645 Mount→63mm
Bronica ETR Mount→74mm
Hasselblad Mount→74.9mm
Pentax 67 Mount→85mm
Mamiya RZ Mount→104mm
Mamiya RB Mount→111mm
35mmフォーマットではNIKONが比較的長いようで、ブローニー版のカメラではさらに長いフランジバックが設定されている。
ちなみにCanon EOSのボディにNIKON用交換レンズを取り付けることは、フランジバックの数値に2.5mmの差があり、この差を埋める専用のアダプター等を使用すれば簡単にできるが、逆にNIKONボディにCanon EOS用のレンズを取り付ける事はできない。仮に取り付けたとしても、無理矢理ボディにめり込ませるような取り付け方をしない限りは近接にしかピントが合わず、無限遠が出ないのだ。
そして、バックフォーカスとはレンズの設計上生まれる数値で、レンズの後端から撮像面までの距離のことである。この数値については何ら規格化されたものはない。したがって、同じ焦点距離、開放F値を持ったレンズであってもバックフォーカスは様々である。
強いて言えば開放F値の数字が大きい(暗い)、望遠系のレンズは比較的長いようである。上の写真はPC NIKKOR 28mm F3.5とNikkor Auto 28mm F3.5の比較であるが、PC NIKKOR 28mm F3.5の特殊な素性が分かると思う。
シフトさせるためにレンズの後端付近はすっきりと何もなく、かつバックフォーカスを長くしているのが見て取れる。
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2007年08月24日
機材の改造 その4 NIKON PB-4を使ったアオリ撮影 近距離編

もっと近距離でのBP-4 + SIGMA 28mm F1.8改での広角アオリの作例が見つからないのでチョコチョコっと撮ってみた。
5本のレンズを一列に並べてピント領域の変化を比較している。上がアオリ撮影だ。下はF値が同じ別のレンズで撮影したもの。いずれも絞りは開放。被写体までの距離は撮像面までで、一番手前のレンズが28cm、一番奥のレンズが55cmでこれも両方とも同じにしてある。アオリ撮影の方は危ういが何とか全部のレンズにピントが合い始めている。しかし、このシステムを使う気にさせない最大の理由は、とにかくピントが合わせづらい。そりゃ当然だ。本来は下の作例のような領域にしか合焦しないところを、無理矢理に引っ張っているのだから、F1.8というスペックもNIKON用レンズとしては明るい部類に入るので、ボケ味にこそ評価のポイントがあるのかもしれない。またトリミングしているので分からないが、アオリの方は各レンズの数字の刻印部分にのみピンが来て、その後方はボケているという何とも不自然な写り方になってしまった。もしも全てのレンズにピントが欲しいならここはやはり、素直に絞り込んでパンフォーカスを期待すべきだ。さらに被写体の変形をコントロールするならば、このシステムでも十分使えるが、建築物を撮影する場合に多用するであろうフロントスタンダードのライズ、フォールはシステム全体を90°ひっくり返さねばならない。そうなると、PC NIKKOR 28mm F3.5の方が断然ハンドリングがよい。以上のようなことから使い道の定まらないシステムとなってしまった。
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機材の改造 その3 BP-4 + SIGMA 28mm F1.8改 詳細

まず、NIKON PB-4について説明すると、30年も前の純正のベローズシステムで、これを使ってマクロ撮影や、スライドの複写などができる。このPB-4にはフロントスタンダードのスイング、シフト機能が備わっており、大判カメラをそのまま小さくしたようなところがある。
このPB-4を使ってアオリ撮影を行うというのはよく知られたところであり、暗室作業で引き伸ばしに使用される90mm以上のレンズなどがよく使われている。これらのレンズはコンパクトなので凹みボード状のものを作ることができれば割と簡単に取り付け、無限遠が出せる。イメージサークルも広くアオリ、シフトを駆使することができるので、商品カットなどでは非常に重宝する。
しかしもっと広角域でピントをコントロールできないだろうか?そんな疑問もあって、実際に行ってみたわけだ。
取り付けているのは、何とも手作り感たっぷりのレンズだが、もとはSIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8Ⅱ、れっきとしたAFレンズだった。これを分解してヘリコイドおよびAFに関するユニットを全て取り去った。レンズとそれを支えるケースの状態にし、前群後群に分けネジで着脱できるようfig.3の様に改造した。金色の部品はとりあえずのもので、コーヒーの缶を切り刻んで作った絞り羽根を動かすレバーだ。
fig.1はPB-4にD200とSIGMA改を取り付けた状態。実際に撮影するときにはこれにビニール製の蛇腹が加わる。なぜこのレンズに目をつけたのか、理由はfig.2にある。このレンズの断面図を見ると絞り羽根から後ろの部分がレンズのユニットのみの状態でにょっきりと出ている。これならば後玉の部分がカメラ内部に入り込み、バックフォーカスをクリアしつつシフトスイングが可能なのではないかと考えた。入手したレンズはジャンク品でAFが正常に作動しないというものだった。ドナーとしては最高の条件を備えていたのだ。
結果からみれば、一応の効果は認められる。ただ画質に難がある。理由はSIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8Ⅱには距離に応じてレンズの繰り出し量を変化させる機構があったのだが、それを取り去ってしまったこと。さらにイメージサークルは十分に確保できているが、想定外の部分を使用していることによる収差や流れが確認できる。
以上のような理由から、このシステムは現在お蔵入りとなっている。
しかし、このプロジェクト(大げさ…)を始める前から予想していた部分と、実際にやらなければ分からなかったことがあったというのは大きな収穫だった。
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機材の改造 その2 改造レンズをNIKON PB-4に

では、次にNIKON PB-4に改造レンズを取り付けて撮ってみた。ベースとなったのはSIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8Ⅱである。機材については後に詳しく説明する。
レンズは28mm F1.8で同じく開放にセットした。これを撮像面に対してシフトとスイングを併せて行っている。つまり大判カメラと同じ機構を与えているわけだ。その成果があって、後方のヘルメットにまで一応ピントは来ている。
この日は風が強く、晴れたり曇ったりの状態だったので雰囲気が違うが、容赦願いたい。細かく見ていくと、いかに薄いピント領域を無理矢理引っ張っているかが分かると思う。フロントのウインカーレンズを見ると、向こう側の方は早くもぼけている。また元々想定されているイメージサークルを大きく超えた範囲を使っているので収差や流れも発生しているようだ。
被写界深度の深い広角レンズといえども、被写体との間合いによっては過焦点距離によるパンフォーカス撮影が困難な場合があるわけだが、このシステムを使用することで、奥行きのある被写体でも端から端までピントを合わせることが可能であることが実証できた。
ともかく、普通のレンズでは撮れない写真を得られた事の意味は大きい。作例ではあえて開放で撮っているが、さらに絞り込むことで解像感はさらに向上する。
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機材の改造 その1 被写界深度の許容範囲

勘の良い方ならそろそろ「目指せ一億画素!」の主旨が分かってしまったかもしれないが、その前にD200で「どんなことがやれるだろうか?」と、取り組んできたことをお話ししたい。前にも書いたが、D200の性能をフルに引き出すレンズを(なるべく安く)探し求めることになったわけだが、よく使う焦点距離28mm、ざっと数えただけでも5本もある。いろいろと買い集めては納得がいかずまた買い足すといったことを繰り返した結果だ。そしてPC NIKKOR 28mm F3.5なんてものもある。シフトできるレンズだ。
ところで、一般的な35mm一眼レフカメラが中・大判カメラと比べて、カタログ的な商品撮影や広告写真に不向きな点を一つあげると、被写体の歪みとピントの範囲がコントロールできないということだ。4×5や一部の中判カメラではフィルム面に対してレンズを自由に動かせるが、この機構のおかげで被写体の歪みやピント範囲をコントロールできる。歪みを補正するならフィルムに対して平行にレンズを「シフト」させれば良く、奥行きのあるものの端から端までピントを合わせたければレンズを回転させる「スイング」を併せて使う。ちなみに横方向への平行移動はシフトだが、上下方向の移動は「ライズ、フォール」と呼ばれる。
PC NIKKOR 28mm F3.5は、この機構のうち「シフト」が行え、そのまま回転させることで「ライズ、フォール」ができるように工夫されている。このPCというのは「Perspective Control」の略で、建築物の遠近に伴うパースペクティブを補正する事が目的だ。加えて、広角レンズが持つ深い被写界深度を活かせば、たいていの建築物撮影で困ることはないはずだ。
クルマの撮影で広角レンズを使用する場合、よほど意図しない限りパースペクティブを補正することはない。それよりもクルマの前端から後端まで、しっかりとピントが来て欲しいのだが、実際にはそうはいかない。Nikkor Auto 28mm F3.5を使用して、クルマを8:2の角度で撮影する場合を例にしてみる。仮に撮影位置から前端まで約2mとすると後端までは約5〜6mとなる。この時フロント周りにピントを持ってくる、絞りはF8とする。しかしリア周りにはピントは来ていない。レンズ本体に刻まれている被写界深度目盛りによるとF8の時に2mにピントを合わせると5mまではピントの中であるにもかかわらずだ。いや、正確を期す言い方をすれば、Photoshop上でA3サイズ程に引き延ばした画像を200%で表示した場合、リア周りはぼけている。もちろん私が必要としているピントへの要求が高過ぎるのであって、本来は印画紙にプリントされる場合には十分「許容範囲」なのだろう。さらに絞り込むとどうだろう。目盛りによるとF11では1.1mから10mまでの距離が被写界深度の中だ。しかし撮り上がったデータは全体にシャープさが失われている。小絞りボケの影響が出始めるのだ。
もともと、35mmのポジをA3まで拡大するような使い方は昔からしない。特に商品をしっかり見せる広告写真に、引き伸ばしの限界が高くない35mmというフォーマットは不向きなのだ。それを35mmフィルムのサイズにも満たないAPS-Cサイズの撮像素子のD200に求めているのだから無理も当然ということなのだろうか。
現在、大判カメラにデジタル一眼レフを取り付けるシステムはいくつか販売されている。メリットは先に述べたように、歪みとピントをコントロールできることにある。しかしどのシステムも取り付けレンズには制約があり、90mm以上でなければ使うことができない。フィルムサイズの大きな大判カメラにとっての90mmは、広角レンズではあるのだが、35mmフォーマットでは当然90mmの中望遠であり、APS-Cサイズにしてみれば135mm相当の望遠レンズとなってしまう。そのうえどれも非常に高価なのだ。
作例を見ていただこう、先に述べたような条件を作った。あいにくクルマが用意できなかったので、オートバイとその後方に置いたヘルメットでピントを確認して欲しい。オートバイの前端からヘルメットまでは4.7m。一般的なクルマの長さに相当する。
レンズはSIGMA 28mm F1.8D EX DG MACRO。差がわかりやすいようにあえて絞り開放で撮った。フロント周りのピントは問題ないがヘルメットはぼけている。
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2007年08月20日
画素数にこだわる理由 その4 足りない解像感は描くしかない

普通コンピュータ上で写真を鑑賞するだけならば理論上72dpiの解像度で事足りるわけだ。しかし印刷には350dpiの密度が必要とされる。もしもPhotoshopなどの画像編集ソフトにピクセルを拡大して表示する概念など無ければ、これほど躍起になってピクセル単位で絵を追い込む作業も必要ないのかもしれない。しかし、目の前には拡大されて無惨なノイズにまみれた画像データがあるのだ。グラフィックデザイナーであれば、これを見逃すことはできないだろう。こうして苦難の作業が始まる(笑)。
もちろんこれらの作業は「デザイナーの自己満足」のためにやっているわけではなく、仕上がりに歴然たる差が出るのだ。未修整の状態では解像感だの空気感だのと言えるようなものではない。
結果は上の写真データを見ていただくとして、このような作業を画面全体に施していく。この時に必要なのが現場で同時に撮った資料写真だ。対象がクルマならば、要所要所のディティールをなるべく高精細に押さえておく。それを参考にしながら描く作業を進めるわけだ。
ひょっとしたら、これは既に写真ではないのかもしれないと、時々思う。もしかしたらリアルイラストレーションと呼んだ方が良いのか。いや、そもそもデジタル化された画像データは写真なのだろうか?
前述したとおり、3600万画素クラスのデジタルカメラが一般化されるまではこのような作業が必要なのだと思っていた。4×5や6×7の大・中判カメラにデジタル一眼レフを取り付けるシステムが存在することを知るまでは。
次から「機材の改造」カテゴリーへつづく
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画素数にこだわる理由 その3 ピクセルが足りない

話は前後するが、印刷・出版がデジタル化したのはかなり早い時期だ。私自身デザインをMacで行うようになったのは1992年からとなるのだが、この頃はまだ版下として出力し、写真はポジを別添で製版へ引き渡していた。
それから徐々に写真の加工をするようになり、ポジの代わりにピクトログラフィーという熱昇華プリンターで出力したプリントを添えていた。はじめは電線などの不要なものを消したり、ゴミを取ったり、いわゆる「レスポンス処理」的な事に使用していた。このレスポンスというのは大手の印刷会社が所有する機械で、画像をデジタル化して修正等を行っていた。確か専門のオペレーターがいて時間当たり数万円という感じで運用されていたと記憶する。この高コストな処理に代わって、デザイナーがPhotoshop等をオペレータ的な作業に使っていたわけだが、徐々に表現の手段としてフィルターを掛けたり、変形を施したりと、それまで見たこともない写真が広告を彩るのに時間はかからなかった。大手印刷会社もDTPの可能性を啓蒙しはじめるに至って、インフラは一変し、1995年頃にはフルデジタル入稿が可能となっていた。
しかし、それでも画像のソースそのものは相変わらずカメラが撮ったポジをスキャンすることに代わりはない。ほんの5〜6年前の話である。
ただし、小さな写真や合成するためのパーツはデジタルカメラのデータを使い始めていた。記憶が曖昧だが1998年頃だったか、知り合いが「デジタルCAPA」という雑誌の編集部にいて、「仕事にデジタルカメラを使っている人」として取材をさせてくれと依頼が来た。ポジからスキャンしたデータ上に、角度や見え方を合わせて、なるべく大きく写るようにデジカメで撮ったパーツのデータを合成する流れを見せたと思う。そんな時代を経て今日のようにデジタルカメラが画像のソースとなるのには、絶対的な画素数の問題があったためか、時間がかかったように感じる。
いや、今も画素数不足の問題は変わらない。上の比較写真は左が4×5からドラムスキャナでデジタル化したもの。右が1600万画素クラスのデジカメの画像を拡大して使用した状態のもの。似たようなパーツの部分を画面上200%で表示した時のものだ。一目瞭然である。右のデータはこのまま使うわけにはいかないので、これからなるべく左のような滑らかなものになるように修正を施していく。実際には修正と言うよりも「描き直し」と言った方が適切かもしれない。
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画素数にこだわる理由 その2 デジ一でB3サイズは無理がある

D200に古いレンズを取り付けて路地や雑踏、野良猫なんかを撮るのは楽しい。それほど金を掛けることもなく、楽しめる道楽であった。
しかし、状況が変わった。このブログの「ART WORK」にあるような、クルマの撮影を行う必要が出てきたのだ。これまでは大判カメラにポジフィルムというのがクルマ撮影の王道だったわけだが、ここ数年で35mm版デジタル一眼レフのデータを使用することが多くなった。デジタルデータはもちろん、便利であることは間違いないのだが、いかんせん画素数が足りない。
雑誌広告は見開きで大体A3サイズぐらいなのだが、時には同じ素材で見開きB3サイズのカタログを作る事もあるのだ。B3というのは相当でかい。印刷の適正な解像度と言われる350dpiで換算すると5016ピクセル×7096ピクセルおよそ3600万画素が必要になる計算だ。しかし手元にあるのは大きくてもCanon EOS 1Dなんかで撮ってもらった1670万画素。D200なら1020万画素しかない。これを単純に拡大しては絵が崩れてしまって使い物にはならない。精密な描写が求められる広告写真ではA3クラスの雑誌広告においてもそのまま使うことは、正直厳しい。
そこでPhotoshop上で荒れたラインやドットが見える面などを整える作業が必要となってくるのだ。また、このように限られた画素数で最高の解像感を出してくれるレンズを探し求めることになるのは当然の流れと言えるだろう。
ちなみによく使う焦点距離というのがあって28mmと60mmだ。まあ好みの問題もあるのだがあまりに望遠だとクルマがオモチャっぽくなってしまうし、広角過ぎるとデフォルメされすぎて、形がよく解らなくなってしまう。いずれにしても、ズームレンズでは描写に曖昧さが残り、仕上がりに眠さがつきまとってしまう。くっきりハッキリと線を描写できる単焦点レンズでなければならない。
D200にとってこの焦点距離で最高に解像感のあるレンズはNikkor Auto 28mm F3.5とAF MICRO NIKKOR 60mm F2.8D。中間を補うものとして、AF NIKKOR 35mm F2D、NIKKOR-H Auto 50mm F2。この4本があれば良い。
これが私の得た結論だ。(ちょっと極端ですか?)
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画素数にこだわる理由 その1 趣味なら1千万画素でも十分です

以前、別のブログで「NIKON D200と巡るレンズ地獄」なんてものを少し書いていた。
これは2005年の暮れにD200を手にして以来、カメラにのめり込んでしまった顛末を書いていたものだが、あんまり長続きしなかった。書くネタが無くなったわけではなく、もうどうしようもないぐらいのめり込んでしまったためだ。
そもそもD200の性能には満足していたのだが、ひょんな事から手に入れた古いレンズが思いの外、高性能であることに衝撃を受けた。それまで使っていたキットレンズとは次元の違う解像感が30年も前のレンズで得られたのだ。それからというもの、ヤフオクで手頃なものを見つけては集めていた。
ターゲットはNikkor Autoと言われる金属鏡筒のものがメインである。高価なものは無く、ほとんどが数千円のものだ。いわゆるジャンク。もとより分解癖があるので、バラしてレンズのカビを取り、ヘリコイドのグリスアップをして、Ai改造まで、なんて事を喜んでやっていた。中には、ウレタン塗装で外装の化粧直しをしたものまである。
なにしろNikkor Autoは頑丈でシンプルな構造だったので素人でも分解組み立てぐらいはすぐにできてしまう。もちろん、光学機としての精度は望むべくもないのだが、それでもそれなりに写ってしまうところが楽しい。
こんな事に素人が手を出すというのは、いろいろご意見もあるかと思うが、私のところへ来なければ、ゴミとして捨てられてしまったかもしれないレンズ達に、もう一度活躍の場を与えることができたのでは、と思っている。
ともかく、趣味で楽しむ限りにおいてD200の1020万画素は十分な画素数であり、様々なレンズの性格を余すところ無く表現して見せてくれた。
ココまでは良くある(かな?)お話であるが、状況が少し変わった。長くなってしまったので続きは次回。
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